SST(Social Skills Training 社会生活技能訓練)の流れ
SSTとは?

SSTでは自分の気持ちや考えや用件を、今よりもっとうまく伝える技術を学びます。
また、相手の気持ちや考えや用件に対し適切な答え方を学びます。
コミュニケーションを円滑にすることで、社会生活がしやすくなるスキルを身に着けていくことができます。
SSTグループでのルール
メンバーの全体性に応じてルールを決め読み合わせを行ってから始めます
◆ ルールの例
1.他人を批判しない(自由な発言のできる環境)
2.ふざけたり、怒ったりしない
3.話すときは一人ずつ
4.パスはしても良い
5.発言するときは手を挙げてスタッフに指されてから
等
SSTの基本訓練モデルの流れ
1.前回の宿題の確認2.練習課題の場面設定
苦手で問題のあるテーマを考え抽出する
例)
テーマ:私用があるのに飲みの誘いを断れない
相手:同僚(同年代の30代、男性、体育会系で押し強い、関係性は普通)
時間、場所:オフィスからの帰り際に
状況:酒好きの同僚から週1で誘われており、お金もかかるし酒が好きでないため行きたくはないが、私用をキャンセルし飲みに行ってしまっている。できれば月に1回にしたいと思ってはいるが言い出せない。
その時の対応:誘われ困っていると「いこうぜ!」と後押しされ、「おーー、いいよ!いこうか」と心と裏腹に言ってしまう
どうなると良いか?:月1回なら私用も片づけられ、楽しく飲みに行ける
3.ドライランドライランでは場面を再現してもらい(ロールプレイ)、コミュニケーションスキルの現在の特徴をアセスメントする
4.正のフィードバック ドライランで見たスキルの良い所を他のメンバーや相手役、進行役からほめてもらう。また本人からも自分の出来たところを言ってもらう。
5.ベターポイント(さらによくなる為)のフィードバック
まず本人からもっと良くしたい点を聞き、周りからも聞く。
挙がったアイデアから取入れられそうなものを本人が選択する。
6.モデリング
良くしたい部分を加え、進行役やうまくできそうなメンバーがモデルを示す
発言内容は本人が言えそうなものを本人に再度尋ねたり、他メンバーからアドバイスをもらって決める
例)「いつも誘ってくれてありがとう。ただ私用があって毎週いく事は難しいんだ。月1なら行けるから来月の行く日を決めないか?」 等
7.ロールプレイ(1回目)
実際に本人が行ってみる
8.正のフィードバック
他のメンバーや相手役、進行役からほめてもらう。また本人からも自分の出来たところを言ってもらう。
※再度、ベターポイントのフィードバックを行い、再ロールプレイをしても良い
9.宿題
実際の場面で行って報告する
SSTのStep By Stepの流れ
1.宿題結果の確認2.練習スキルの提示
例)「うれしい気持ちを伝える」
技能の各ステップでは、メリットを見い出すことで動機付けを行う
◆ 技能のステップ
1)相手の顔を見る
自分にとってのメリット:あなたに話しているということが明確に伝わる。誠実さ伝わる
相手にとってのメリット:自分に話しかけていることがわかる。
両方にとってのメリット:話しを聞く準備が整う
※メリットを見つけるコツは、それをしなかったら?と考える。相手の顔を見なかったらどんなデメリットがあるだろうか?
2)うれしいと感じた理由を述べる
自分にとってのメリット:うれしさを相手によりわかってもらえる
相手にとってのメリット:うれしい気持ちが嘘じゃないと感じられる
両方にとってのメリット:お互い納得がいく
3)うれしい気持ちを伝える
自分にとってのメリット:素直な気持ちを相手に伝えることができる
相手にとってのメリット:相手の気持ちがわかる
両方にとってのメリット:気持ちが通い合え信頼関係に結び付く
3.ロールプレイの場面の例を見て練習したい場面を選ぶ
・友人が亡くした物を探し見つけてくれた
・家族が駅まで車で送ってくれた
・駅員さんに道を尋ねて教えてくれた
4.ロールプレイの場面例をロールプレイするか、個別に状況設定してからロールプレイを行う
※決める内容
テーマ:家族が駅まで車で送ってくれた
相手:父親(関係良好)
状況:学校に行くのに雨が降っていたので車で送ってもらった
どうしたい?:いつもお礼を言ってないので言いたい
セリフ(Stepに沿って考える):「雨が降っていたので、送ってもらって助かったよ、有難う!行ってきます!」
5.正のフィードバック
メンバーから良かった所を挙げる、自身でも出来たところを発表
6.ベターポイント(さらに良くするため)のフィードバック
自身でさらに良くしたい点を挙げる。他メンバーからもっとよくなりそうな点を挙げる。本人が取入れたい点を選ぶ。
7.モデリング
進行役や他メンバーで得意な人がモデリングを行う
8.ロールプレイ(2回目)
9.正のフィードバック
10.宿題
Step By Step(べラックスタイル) は基本訓練モデルよりもシンプルに行うモデルである。手順が決められているため知的に低い人などにより適している。
SSTのBetter Solutionの流れ
1.宿題結果の確認2.練習課題の場面設定
苦手で問題のあるテーマを考え抽出する
例)
テーマ:私用があるのに飲みの誘いを断れない
相手:同僚(同年代の30代、男性、体育会系で押し強い、関係性は普通)
時間、場所:オフィスからの帰り際に
状況:酒好きの同僚から週1で誘われており、お金もかかるし酒が好きでないため行きたくはないが、私用をキャンセルし飲みに行ってしまっている。できれば月に1回にしたいと思ってはいるが言い出せない。
その時の対応:誘われ困っていると「いこうぜ!」と後押しされ、「おーー、いいよ!いこうか」と心と裏腹に言ってしまう
どうなると良いか?:月1回なら私用も片づけられ、楽しく飲みに行ける
3.本人に次の中から最適な選択をしてもらう1)『どうしていいか解決の糸口もみつからない』⇒問題解決技法を用いてからロールプレイを行う
2)『本人の言いたいセリフがだいたい決まっている』⇒そのままロールプレイをやってからフィードバックして、より良い方法を探し出す。
3)『みんなが考えたセリフを聞いて言うセリフを考えたい』⇒みんなにセリフを考えてもらう。一人ずつ意見を聞き、本人が取捨選択をしセリフを整えロールプレイを行う
4.正のフィードバック
メンバーから良かった所を挙げる、自身でも出来たところを発表
5.ベターポイント(さらに良くするため)のフィードバック
自身でさらに良くしたい点を挙げる。他メンバーからもっとよくなりそうな点を挙げる。本人が取入れたい点を選ぶ。
6.再ロールプレイ
7.正のフィードバック
8.宿題
参考
・わかりやすいSSTステップガイド下巻 P77、80
・SST研修資料
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