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SST(Social Skills Training 社会生活技能訓練)の流れ

公開日: : 最終更新日:2019/04/01 SST, 未分類, 認知行動療法

SSTとは?

コミュニケーションにおける自分の苦手な箇所をみつけ、スキルの向上を図ります。

SSTでは自分の気持ちや考えや用件を、今よりもっとうまく伝える技術を学びます。
また、相手の気持ちや考えや用件に対し適切な答え方を学びます。

コミュニケーションを円滑にすることで、社会生活がしやすくなるスキルを身に着けていくことができます。

SSTグループでのルール

メンバーの全体性に応じてルールを決め読み合わせを行ってから始めます

◆ ルールの例
1.他人を批判しない(自由な発言のできる環境)
2.ふざけたり、怒ったりしない
3.話すときは一人ずつ
4.パスはしても良い
5.発言するときは手を挙げてスタッフに指されてから


SSTの基本訓練モデルの流れ

1.前回の宿題の確認

2.練習課題の場面設定
  苦手で問題のあるテーマを考え抽出する

例)
テーマ:私用があるのに飲みの誘いを断れない

相手:同僚(同年代の30代、男性、体育会系で押し強い、関係性は普通)

時間、場所:オフィスからの帰り際に

状況:酒好きの同僚から週1で誘われており、お金もかかるし酒が好きでないため行きたくはないが、私用をキャンセルし飲みに行ってしまっている。できれば月に1回にしたいと思ってはいるが言い出せない。

その時の対応:誘われ困っていると「いこうぜ!」と後押しされ、「おーー、いいよ!いこうか」と心と裏腹に言ってしまう

どうなると良いか?:月1回なら私用も片づけられ、楽しく飲みに行ける

3.ドライラン
ドライランでは場面を再現してもらい(ロールプレイ)、コミュニケーションスキルの現在の特徴をアセスメントする

4.正のフィードバック ドライランで見たスキルの良い所を他のメンバーや相手役、進行役からほめてもらう。また本人からも自分の出来たところを言ってもらう。

5.ベターポイント(さらによくなる為)のフィードバック
まず本人からもっと良くしたい点を聞き、周りからも聞く。
挙がったアイデアから取入れられそうなものを本人が選択する。

6.モデリング
良くしたい部分を加え、進行役やうまくできそうなメンバーがモデルを示す
発言内容は本人が言えそうなものを本人に再度尋ねたり、他メンバーからアドバイスをもらって決める

例)「いつも誘ってくれてありがとう。ただ私用があって毎週いく事は難しいんだ。月1なら行けるから来月の行く日を決めないか?」 等

7.ロールプレイ(1回目)
実際に本人が行ってみる

8.正のフィードバック
他のメンバーや相手役、進行役からほめてもらう。また本人からも自分の出来たところを言ってもらう。

※再度、ベターポイントのフィードバックを行い、再ロールプレイをしても良い

9.宿題
実際の場面で行って報告する

SSTのStep By Stepの流れ

1.宿題結果の確認

2.練習スキルの提示
例)「うれしい気持ちを伝える」
技能の各ステップでは、メリットを見い出すことで動機付けを行う

◆ 技能のステップ
1)相手の顔を見る
自分にとってのメリット:あなたに話しているということが明確に伝わる。誠実さ伝わる
相手にとってのメリット:自分に話しかけていることがわかる。
両方にとってのメリット:話しを聞く準備が整う

※メリットを見つけるコツは、それをしなかったら?と考える。相手の顔を見なかったらどんなデメリットがあるだろうか?

2)うれしいと感じた理由を述べる
自分にとってのメリット:うれしさを相手によりわかってもらえる
相手にとってのメリット:うれしい気持ちが嘘じゃないと感じられる
両方にとってのメリット:お互い納得がいく

3)うれしい気持ちを伝える
自分にとってのメリット:素直な気持ちを相手に伝えることができる
相手にとってのメリット:相手の気持ちがわかる
両方にとってのメリット:気持ちが通い合え信頼関係に結び付く

3.ロールプレイの場面の例を見て練習したい場面を選ぶ
・友人が亡くした物を探し見つけてくれた
・家族が駅まで車で送ってくれた
・駅員さんに道を尋ねて教えてくれた

4.ロールプレイの場面例をロールプレイするか、個別に状況設定してからロールプレイを行う

※決める内容
テーマ:家族が駅まで車で送ってくれた

相手:父親(関係良好)

状況:学校に行くのに雨が降っていたので車で送ってもらった

どうしたい?:いつもお礼を言ってないので言いたい

セリフ(Stepに沿って考える):「雨が降っていたので、送ってもらって助かったよ、有難う!行ってきます!」


5.正のフィードバック
メンバーから良かった所を挙げる、自身でも出来たところを発表

6.ベターポイント(さらに良くするため)のフィードバック
自身でさらに良くしたい点を挙げる。他メンバーからもっとよくなりそうな点を挙げる。本人が取入れたい点を選ぶ。

7.モデリング
進行役や他メンバーで得意な人がモデリングを行う

8.ロールプレイ(2回目)

9.正のフィードバック

10.宿題
Step By Step(べラックスタイル) は基本訓練モデルよりもシンプルに行うモデルである。手順が決められているため知的に低い人などにより適している。

SSTのBetter Solutionの流れ

1.宿題結果の確認

2.練習課題の場面設定
  苦手で問題のあるテーマを考え抽出する

例)
テーマ:私用があるのに飲みの誘いを断れない

相手:同僚(同年代の30代、男性、体育会系で押し強い、関係性は普通)

時間、場所:オフィスからの帰り際に

状況:酒好きの同僚から週1で誘われており、お金もかかるし酒が好きでないため行きたくはないが、私用をキャンセルし飲みに行ってしまっている。できれば月に1回にしたいと思ってはいるが言い出せない。

その時の対応:誘われ困っていると「いこうぜ!」と後押しされ、「おーー、いいよ!いこうか」と心と裏腹に言ってしまう

どうなると良いか?:月1回なら私用も片づけられ、楽しく飲みに行ける

3.本人に次の中から最適な選択をしてもらう

1)『どうしていいか解決の糸口もみつからない』⇒問題解決技法を用いてからロールプレイを行う

2)『本人の言いたいセリフがだいたい決まっている』⇒そのままロールプレイをやってからフィードバックして、より良い方法を探し出す。

3)『みんなが考えたセリフを聞いて言うセリフを考えたい』⇒みんなにセリフを考えてもらう。一人ずつ意見を聞き、本人が取捨選択をしセリフを整えロールプレイを行う

4.正のフィードバック
メンバーから良かった所を挙げる、自身でも出来たところを発表

5.ベターポイント(さらに良くするため)のフィードバック
自身でさらに良くしたい点を挙げる。他メンバーからもっとよくなりそうな点を挙げる。本人が取入れたい点を選ぶ。

6.再ロールプレイ

7.正のフィードバック

8.宿題
参考
・わかりやすいSSTステップガイド下巻 P77、80
・SST研修資料

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