*

人を動かす強力な方法 ~失うことへの恐れ~

公開日: : 最終更新日:2019/10/24 心理テクニック, 未分類

人はあるものが失うことへの大きな恐れがある

失うことへの恐れ

失うことへの恐れを反映した実験で以下のようなものがあります。
以下の二つの問いに直感で答えてください。

問1 あなたはどちらを選びますか?
1. 確実に900ドル(約9万円)もらえる
2. 90%の確率で1000ドル(約10万円)もらえる

問2 あなたはどちらを選びますか?
1. 確実に900ドル(約9万円)を失う
2. 90%の確率で1000ドル(約10万円)を失う

多くの人は問1では、リスクを回避し選択肢1を選ぶ。
多くの人は問2では、選択肢2を選ぶ。

問1を選んだ理由は単純に損失が嫌だからです。
さらに問2を選んだ理由は、確実な損失は非常に嫌なものでリスクがあるギャンブルを選んだ方がマシだと感じてしまうからです。
問2のような、どちらもマイナスになる場合には、人々はリスクを追求するような選択肢を選ぶ傾向にあるようです。

これを損失回避バイアスと言います。

つまりこの結果を応用すると、人に何かを失うと感じさせるとそれを守ろうとする行動を取るということになります。

セールスの際に、「買わないと後で損しますよ」「限定10個ですよ」などは人間の損失回避バイアスをくすぐります。
補足的説明をすると、これは損失回避をしようとする人間の直感的な判断(システム1)によるものです。
熟考する(システム2)と別の選択肢を選ぶ確率は上がります。

そして、問1で1を選ぶ、問2で2を選ぶということは正常であり直感による認知バイアスが働いた結果だと言えます。

認知バイアスを納得するためにもうひとつ。下の2つの図の真ん中の直線を見てください。
多くの人が下側にある図の直線が長いと答えます。
あなたはどうですか?

下の方が長いと感じましたか?実際はどちらも同じ長さなのです。
これは直感による認知バイアス(偏り)が働いた結果だからしょうがないものだと納得できましたか?
参考
・ダニエル・カーネマン,『ファスト&スロー 下巻』,P92-

関連記事

怒りを鎮めるリフレームテクニック(3つのコラム)

リフレームテクニック(3コラムテクニック)のやり方 1つ目のコラム ◆ アン

記事を読む

行動活性化技法とは?

行動活性化技法とは 行動活性化技法の目的や効果は? 行動活性化法は、学習理論に基づく行動療法

記事を読む

他人の愚痴や批判さがしをする人は幸せか?

他人の愚痴や批判さがしをする人は幸せか? 他人を批判し他人の格を落として自己肯定感を

記事を読む

不安は消さなくて良い?
人前で堂々と話す方法

不安は消さなくて良い?人前で堂々と話す方法 2013年ハーバード大学の論文によれ

記事を読む

自律神経訓練法
~副交感神経に切り替えよう~

自律神経と自律神経訓練法 自律神経とは 神経とは、体と脳をつなげるネットワークのこ

記事を読む

「影響力の武器」を読んでみた。
影響力のある点まとめました!

影響力の武器から考え方を学ぶ この本は、心理学的側面から相手にどのように影響するのかを分かりやす

記事を読む

基本的な帰属の誤りとは?

基本的な帰属の誤り 混んだデパートの前で募金を行っている人があるお客さんに近づき募

記事を読む

SSTにおける問題解決技法のやり方

SSTにおける問題解決技法の実践 SSTを進めていくと、対応方法に困る場面

記事を読む

CBT(認知行動療法)の概要と歴史

認知行動療法(Cognitive  behavioral Theraphy)の概要と歴史

記事を読む

アルフレッド・アドラー名言を読解する!(嫌われる勇気編その1)

アドラー名言集(嫌われる勇気編その1) 人は誰しも客観的な世界に住んでいるのではなく、

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

パニック障害の新対処法「5秒の法則」

パニック障害の新対処法「5秒の法則」とは? You

社交不安症のメカニズムと対処

社交不安症のメカニズムと対処 社交不安症のメカニ

アルフレッド・アドラー名言を読解する!(幸せになる勇気編)

アドラー名言集(幸せになる勇気編) われわれは、

アルフレッド・アドラー名言を読解する!(嫌われる勇気編その2)

アドラー名言集(嫌われる勇気編その2) 「あの人」の期待

アルフレッド・アドラー名言を読解する!(嫌われる勇気編その1)

アドラー名言集(嫌われる勇気編その1) 人は誰しも客観的

→もっと見る

PAGE TOP ↑